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蜂の種類と見分け方のポイントは?スズメバチ・アシナガバチ・ミツバチの特徴について

蜂にはさまざまな種類がいます。見分け方を知ってそれぞれの蜂に合った対処方法をるとれるようにしましょう。 今回は、人間との距離が近く、刺されることも多いスズメバチ、アシナガバチ、ミツバチをご紹介します。

目次

・蜂の種類と見分け方のポイント
 └スズメバチ
 └アシナガバチ
 └ハナバチ(ミツバチ)
・最も危険なスズメバチの種類
 └オオスズメバチ
 └キイロスズメバチ
 └モンスズメバチ
 └ヒメスズメバチ
 └クロスズメバチ
・アシナガバチの種類
 └キアシナガバチ
 └セグロアシナガバチ
 └フタモンアシナガバチ
 └コアシナガバチ
・ミツバチの種類
 └ニホンミツバチ
 └セイヨウミツバチ
・蜂を見かけたときの対処方法
 └蜂を刺激しないように距離をとる
 └スズメバチの場合は業者に駆除を依頼する
・蜂のオス・メスの見分け方
・まとめ

蜂の種類と見分け方のポイント

蜂にはさまざまな種類がいます。とくに、人との距離が近く人間を刺すことが多い蜂は次の3種類です。

スズメバチ

攻撃性が高いだけでなく、毒性も強いスズメバチは秋ごろになると人を刺す被害が増える蜂です。見分け方のポイントをご紹介します。

スズメバチの見分け方のポイントや特徴
体の大きさ……3cm程度
体の色……黄色部分がオレンジ色っぽいものが多い
体の形……腹が太い
巣の形……作り初めはフラスコやとっくりのような形、大きくなると球体になる
巣の色……白と茶色のマーブル
性格……攻撃性が高く、巣に近づくものに攻撃をする
餌となる物……芋虫など

巣を守るために、巣に近づくと攻撃をします。もし、大きな蜂が飛んでいて、近くに白と茶色のマーブル模様の球体があった場合はスズメバチです。 巣は大きいものでは80cmにもなります。

巣に近づくと、「カチカチ」とアゴを鳴らして警戒音を出すのも特徴です。

また、体が大きいのも特徴で漢字では「雀蜂」と書き、種類によっては4cm以上にもなります。 ただし、2cm程度の小型の種類もスズメバチもいるので大きさだけで見分けるのは難しいでしょう。

アシナガバチ

ベランダなど人の生活圏に近い場所に巣を作ることの多いアシナガバチの見分け方のポイントをご紹介します。

アシナガバチの見分け方のポイントや特徴
体の大きさ……2.5cm前後
体の色……黄色やレモン色のものが多い
体の形……細長く、胸と腹の間がくびれている
巣の形……シャワーヘッドや逆さにしたお椀のような形、巣穴が見える
巣の色……灰色
性格……比較的おとなしく、刺激しなければ襲ってくる可能性は低い
餌となる物……芋虫など

名前の通り後ろ足が長く、飛んでいるときに後ろ足がだらりと垂れているのが特徴です。 また、ふらふらと飛んでいる、速度が遅いなど飛ぶ姿がスズメバチと違います。

細長い体も特徴でスズメバチが「がっちり」体型なのに対し、すらっとしている印象を受けます。

巣の形も大きく違い、六角形のたくさんの巣穴が見えます。最終的な大きさもスズメバチと比べると小ぶりで、10〜15cmの円盤型です。

比較的おとなしい蜂ですが、巣に近づきすぎたり、刺激をすると襲ってきます。 とくに梅雨以降は防衛本能が高まり巣に近づくのは危険です。

ハナバチ(ミツバチ)

農業に使われることも多く、人間との距離が近いハナバチ(ミツバチ)の見分け方のポイントをご紹介します。

ミツバチの見分け方のポイントや特徴
体の大きさ……2cm程度
体の色……黄色と黒の縞模様のほか、一部が黒、一部が黄色というものもいる
体の形……丸みを帯びていて、全身が細かい毛に覆われている
巣の形……板状の巣版を何枚も作る
巣の色……黄色
性格……温厚
餌となる物……花粉など

基本的には温厚な性格で、人を攻撃することは少ないです。しかし、他の蜂と同様に巣を守るために攻撃的になることもあります。 また、人の生活する場所の近くに巣を作ることも多く、子どもが好奇心から巣に近づいたため刺されるという被害も多いのが特徴です。

スズメバチやアシナガバチとの見分け方のポイントは全身に細かい毛が生えている点です。

また、巣は木の空洞や家の床下などの狭い場所にできるので、巣そのものを見かけることはほとんどありません。 狭い隙間に小さな蜂が出入りしているのを見たら、その場所に巣があると考え、距離を取るようにしてください。

最も危険なスズメバチの種類

人を刺す被害が出ている蜂の中でも、もっとも危険な種類は攻撃性が高く毒性も強いスズメバチです。 スズメバチの中でもいくつかの種類があります。体の大きさや色が違うので、特徴を知っておきましょう。

オオスズメバチ

性の高い蜂の中では世界最大級の蜂としても知られており、体長は4cm前後にもなります。羽を広げるとおよそ7.5cmでかなり大きいです。

見分け方で注目するポイントは頭部がオレンジ色、胸が黒い点です。 巣を作る場所は土の中や木の空洞などの狭い場所が多く、森や林の中での被害があるほか、剪定した枝葉を積んで放置しておくとその隙間に巣を作ることもあります。

また、飛行スピードが速いのも特徴で、最大時速は40kmです。

キイロスズメバチ

地域によっては「ケブカスズメバチ」「アカバチ」「カメバチ」とも呼ばれます。

キイロスズメバチは危険度の高い蜂で、日本での野生動物による死亡事故がもっとも多いです。 キイロスズメバチが危険な理由は主に下の2点があげられます。

・活動期間が他の蜂と比べて長い
・働き蜂の数が多く、巣が急成長する

活動期間が他の蜂より長く、通常4月ごろから活動を始めるのに対し、3月ごろから活動を始めます。 また活動を終えるのも他の蜂よりも長いため、人と接触する機会が多く被害が多いと考えられます。

また働き蜂の数が多いのも特徴で、巣が急成長します。 蜂の巣があることに気づいたころには大きな巣になっていて、危険度が高い状態になっていることも多いです。

見分け方の特徴は、名前の通り黄色が印象的なことと、活動期間の違いに注目するとよいでしょう。

モンスズメバチ

モンスズメバチの見分け方は腹部の縞模様が波打ったようになっているのと、お尻に向かって黄色の面積が増えるのが特徴です。 昆虫を餌としていて、主にセミを捕食しているほか、バッタやトンボも捕まえます。

他の蜂と異なる点は、夜間も活動をする点です。 蜂は一般的に日中に活動し、日没後は巣に帰るものですが、モンスズメバチは日没後も活動をします。 夜間の昆虫採集などで林に入って刺されてしまうこともあります。

また、巣が狭くなってくると引っ越しをする習性があるので、春に巣ができなかったからといって油断していると、大きな群れが巣を作り始めてしまうこともあります。

ヒメスズメバチ

ヒメスズメバチという名前ですが大型で、オオスズメバチの次に大きい種類です。見分け方のポイントはお尻の先端が黒く、体が全体的に茶褐色です。 また、腹部は黒い色の方が目立ちます。

ヒメスズメバチはスズメバチの中では攻撃性が低く、毒性が弱いのも特徴です。 また活動期間が短いのも特徴で、活動開始は5月ごろからと遅く、9月ごろには群れとしての活動を終えます。 そのため、スズメバチの仲間の中では人への被害が少ない蜂です。

また、巣の形が特徴的です。スズメバチの仲間は外側に殻のある球形の巣を作りますが、ヒメスズメバチの巣はアシナガバチのようにシャワーヘッド型をしています。 巣だけではアシナガバチとの見分けがつきにくいでしょう。

クロスズメバチ

クロスズメバチは見た目が他のスズメバチとは異なります。 見分け方のポイントは黒い体に白いしま模様と1.5cm程度の小ささで、ハエと見間違えるほどです。

性格は穏やかで毒も少ないので危険度は低いですが、スズメバチの仲間であるため過去にスズメバチに刺されたことがある方は重篤なアレルギー症状を起こす恐れがあるので注意しましょう。 12月ごろまで長く活動するので、遅い時期に活動している小さなスズメバチがいたらクロスズメバチと言えるでしょう。

クロスズメバチは昆虫や蛇などの死骸、花の蜜などなんでも餌にします。そのため屋外にお弁当やジュースを置いておくと、匂いにつられて寄ってくることがあります。

アシナガバチの種類

アシナガバチは住居の周りで巣を作ることが多い蜂です。とくに人間に身近なアシナガバチの見分け方をご紹介します。

キアシナガバチ

アシナガバチの中では大きく、攻撃性の高さと強い毒でスズメバチ同様に危険な蜂です。

巣は雑木林などの自然豊かな場所に作ることが多く、市街地では見かけることが少ないです。 キャンプや登山などではとくに注意が必要です。

腹部の黄色が占める部分が広いことや、胸に2本の縦線が2箇所入っている点が特徴的なので、その点から見分けることができます。

セグロアシナガバチ

セグロアシナガバチもアシナガバチの中では大きく、攻撃性が高い蜂です。 直前に紹介したキアシナガバチとセグロアシナガバチは非常によく似ており、見分けがつきにくいです。

見た目での見分け方は以下の通りです。

・胸の縦線がセグロアシナガバチは1ヶ所
・触覚全体が黄色いのがセグロアシナガバチ、先端の1/3が黄色いのがキアシナガバチ

また、キアシナガバチは林などに巣を作るのに対し、セグロアシナガバチは市街地にも多く生息しています。 人との距離が近く、軒下や屋根裏だけでなく物干し竿にも巣を作るのが特徴です。

フタモンアシナガバチ

フタモンアシナガバチの見分け方のポイントは、名前の通り、腹の上部に黄色の点が2つある点です。 体は全体的に黒い部分が多く、黄色部分は明るいのでコントラストが映えます。

攻撃性も毒性もそれほど強くないですが、注意したいのが10月以降に洗濯物に新女王蜂が隠れていて刺されるという被害です。

また、北海道のような寒い場所でも生息できます。

コアシナガバチ

コアシナガバチはアシナガバチの中でも小さな種類です。 見分け方で注目したいのは、胸に黄色い筋が2本入っている点で、体の色は黒い部分が大半を占めています。

また、コアシナガバチは人との距離が近く、民家やコンクリートの建物など人工的なものにも巣を作ります。 攻撃性も高いので被害につながりやすいのも特徴です。

ミツバチの種類

はちみつを作るミツバチにも種類があります。日本では次の2種類が有名です。

ニホンミツバチ

東南アジア全域やパキスタン、アフガニスタンなどに生息する「トウヨウミツバチ」に分類されるもののうちの1つです。 日本の在来種で、北海道と沖縄以外に生息しています。

ニホンミツバチはセイヨウミツバチより少しだけ小さく、黄色と黒の割合は黒が多い印象です。 また、しま模様の境目がはっきりしている点でも見分けられます。

性格は穏やかですが、人の生活圏に巣を作るため駆除の対象になります。 また、養蜂家が群れごと捕獲をし、巣を引っ越しさせる方法もあります。

セイヨウミツバチ

セイヨウミツバチはいわゆる外来種で、採れるはちみつの量が多いことから明治時代に導入されました。

ニホンミツバチとの見分け方は、セイヨウミツバチの方が体がひと回り大きく、黄色の部分がオレンジ色をしている点に注目します。 また、黄色の面積の割合が大きいのも特徴です。

性格はニホンミツバチ同様穏やかで、巣に危険がない限り攻撃することはありません。

蜂を見かけたときの対処方法

蜂を見かけたとき、あなたや周囲の人が安全に過ごすためにはどのような対処をしたらよいのかご紹介します。

蜂を刺激しないように距離をとる

まずは蜂との距離を取り、刺激しないようにします。 種類を見分けるために蜂に近づこうと考えるかもしれませんが、蜂に詳しくない人は、動いている蜂を見て瞬時に蜂の種類を特定するのは難しいです。 また巣が近くにある場合は、どの種類の蜂も巣を守るために攻撃的になります。

その他にも、蜂を刺激する人間の行動には以下のようなものがあります。

・香水や整髪料、柔軟剤などの匂いをつけて行動する ・黒い服を着る

アウトドアに出かける際や、近所に蜂の巣ができている場合などは、香りの強い香水やシャンプーの使用を避け、明るい色の服を着るようにしましょう。

蜂の巣を落とすために巣を揺らしたり、蜂を手で払ったりすると、蜂は攻撃をされたと感じて集団で襲ってくることがあります。 複数の蜂に一度に刺されると重篤なアレルギー症状を起こすことがあり、最悪の場合は命に関わります。 絶対に蜂の巣を揺らしてはいけません。

スズメバチの場合は業者に駆除を依頼する

見かけた蜂がスズメバチの場合は、距離をとった上でなるべく早く専門業者に駆除の依頼をしましょう。 スズメバチは攻撃性が高く、毒性も強いので、自力での駆除は危険です。

専門業者が駆除に来るまでに時間がかかってしまうときは、巣があると思われる場所には近づかず、蜂を刺激しないように過ごしましょう。

また、スズメバチかどうかわからない場合も専門業者に相談するのがオススメです。

蜂のオス・メスの見分け方

ほとんどの種類の蜂は、働き蜂はすべてメスで、針を持っているのもメスだけです。 オスの蜂に出会ったとしても、正しい知識を持っていればほとんど危険はないと言えるでしょう。

蜂のオスとメスの見分け方は、蜂の種類によっても違います。ここでは、危険度の高いスズメバチと身近な蜂であるミツバチのオスとメスの見分け方をご紹介します。

スズメバチのオスには針がなくお尻の先が平たくなっており、先が尖っているメスと異なる腹の形状をしています。 また、顔の大きさはメスの方が大きく、触覚もメスの方が長めです。

ミツバチのオスも同様に針はありません。見分け方は体はオスの方が少し大きく、腹の部分が全体的に黒っぽいのが特徴です。

働くこともなく針も持たないオスの蜂の役割は、女王蜂と交尾をし、子孫を残すことだけです。
そのため、群れの1割程度しかいない上、秋の繁殖期が過ぎると群れには必要ないので巣を追い出されてしまいます。 秋には巣を追い出されたオス蜂が地面の上を歩く姿が確認できます。

まとめ

蜂にはさまざまな種類がいますが、人にとって身近な存在で、刺される可能性があるのは、スズメバチやアシナガバチ、ミツバチです。 とくにスズメバチは攻撃性が高く毒性も強いので、刺されないように注意しましょう。 もし、スズメバチを見かけたら刺激をしないように距離を取り、早めに専門の駆除業者に連絡します。 また、蜂の種類の特定は慣れない人には難しいこともあります。蜂が生活圏のすぐ近くにいる場合は、一度専門家に相談してみるのがよいでしょう。

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