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【スズメバチ駆除】特に注意が必要なハチ"スズメバチ"について解説!

スズメバチは危険な蜂として広く知られていますが、詳しい生態をご存じでしょうか。生態を理解して正しく対処しないと、スズメバチを刺激して襲われる可能性があります。場合によってはアナフィラキシーショック発症のリスクがあるため注意しなければなりません。この記事では、スズメバチの見分け方や種類、正しい対処法について詳しく解説していますので参考にしてください。

目次

・スズメバチについて
・スズメバチの見分け方について
 └大きさで見分ける
 └見た目で見分ける
 └巣で見分ける
・スズメバチの種類
 └オオスズメバチ
 └キイロスズメバチ
 └モンスズメバチ
 └チャイロスズメバチ
 └ツマグロスズメバチ
 └ツマアカスズメバチ
 └コガタスズメバチ
 └ヒメスズメバチ
 └クロスズメバチ
・スズメバチの危険性
 └被害の件数
 └スズメバチはなぜ人を襲うのか
 └スズメバチの毒の危険性
 └アナフィラキシーショックにかかる可能性
・スズメバチに刺されたときの対処方法
 └流水で洗いながら鋭くないもので毒針を取り除く
 └冷湿布をする
 └患部を持ち上げる
・スズメバチから身を守る方法
 └ハチの活動時間に注意する
 └肌を出さない、服装に気を付ける
 └ハチを刺激する行動をとらない
・まとめ

スズメバチについて

スズメバチは、日本に生息する毒性の強い凶暴な蜂として知られています。攻撃性も非常に強く、人への被害も多数報告されている蜂です。対処法を考えるためにも、スズメバチの生態を確認していきましょう。

スズメバチは日本に広く分布しており、森林や山に多く生息しています。しかし、近年は都市部でも多く確認されるようになりました。活動時期は4〜11月下旬で、夏から秋はとくに活動的になります。朝6〜7時にエサや巣の材料を集めるために飛び立ち、夕方になると帰ってくる習性です。

スズメバチは変温動物であるため、気温が15〜20℃を下回ると動きが鈍くなり、働き蜂は冬を越せず死亡します。よって、雨の日や気温の低い日は動きが弱まります。

巣は木の枝、土の中、軒下、エアコン室外機の中など、風雨や天敵から身を守れるさまざまな場所につくられます。4〜6月頃に巣作りが行われることが多く、9〜10月は繁殖が盛んな時期で巣に近づくのは大変危険です。

スズメバチの成虫は、幼虫から分泌される栄養液を主食とするほか、樹液や花の蜜を食べています。幼虫には、スズメバチの成虫が捕らえた昆虫や、他種類の蜂の巣を襲い、幼虫や成虫を食料として与えています。他のスズメバチの巣を攻撃する種類もいるのが特徴的です。

強い毒性と高い攻撃性を持つスズメバチですが、クマ、モズ、トンボ、カマキリなどの多くの天敵がいます。都市部にスズメバチが進出してきたのは、昆虫の天敵が減少したことが原因のひとつと考えられています。

スズメバチは高い攻撃性を持っていますが、動くものすべてに攻撃を仕掛けるわけではありません。スズメバチが攻撃を受けるケースの多くは、巣に近づいたからです。巣の近くで見張りをする働き蜂は、近づいた「外敵」に対してあごを鳴らして警告します。さらに蜂を刺激すると毒針による攻撃を受けたり、毒液を噴射したりします。毒針は刺激を受けると反射的に飛び出す構造をしており、手で払う際に当たっただけでも刺さることがあるため注意が必要です。ちなみに毒針を持つのはメスのみで、働き蜂はすべてメスです。
スズメバチは攻撃性が強く、繁殖期である9〜10月は大変危険です。むやみに近づかないようにしましょう。

スズメバチの見分け方について

ここでスズメバチの見分け方を知っておきましょう。スズメバチの種類によって攻撃性や巣の形、作りやすい場所に違いがあるため、見分けることで危険性を判断できます。とくに大きさや見た目、巣に注目し、スズメバチを見分けましょう。

大きさで見分ける

スズメバチの中でとくに危険性の高いオオスズメバチは、大きいもので体長50mmにもなります。オオスズメバチは凶暴で危険性が高いため、大きい蜂を確認したら近づいてはなりません。

見た目で見分ける

見た目で見分けるのも有効です。クロスズメバチやチャイロスズメバチは特徴的な色をしているため、見分けやすいです。腹部の模様も特徴的であるため、判別ポイントとして覚えておきましょう。しかし、遠くからでは見にくい場合もあるため、確認するために近づき過ぎないように注意しましょう。

巣で見分ける

スズメバチの巣は非常に特徴的です。遠くからでも確認できるので、巣をまず確認し、大きさ、色などで総合的に判別するのがおすすめです。スズメバチの巣の形は、大きく分けてつりがね型、球体に分けられ、模様はマーブルや貝殻型などさまざまです。

スズメバチの種類

スズメバチの中でもとくに注意すべき種類は何でしょうか。それぞれ大きさや色に特徴があるため、危険性が高いスズメバチだと判別できたら、すぐに駆除業者に依頼するなどの対策が必要です。日本に生息するスズメバチ9種類について詳しく紹介します。

オオスズメバチ

体長25〜35mmで黄色と黒色の縞模様の胴体を持つ大型のスズメバチです。北海道から九州にかけて分布しており、非常に強い毒性と高い攻撃性をもつ最も危険なスズメバチで、他のスズメバチの巣を攻撃することもあります。攻撃対象を長く追い回すなど、その攻撃は凶暴で執拗です。

巣は多層に重ねられたつりがね型で、屋根裏や土の中につくられます。大きい巣は直径80cmに達します。木の穴や土の中に巣を作る傾向があり、気づきにくいため非常に厄介です。何もない場所でスズメバチを見かけた際は土の中に巣がある可能性が高いため、近づかないことが重要です。

キイロスズメバチ

体長18〜25mmで、黄色と黒色の縞模様の胴体と黄色の足が特徴的な、日本で最も多く見られるスズメバチです。北海道から九州にかけて分布しており、オオスズメバチと同様に攻撃的です。小型であるため毒は少量ですが、毒の強さはオオスズメバチよりも強力とされています。

球状の巣を屋根裏、軒下などに作り、スズメバチの巣としては最大級です。都市部への適応力が高いため、人への被害が最も多いスズメバチです。

モンスズメバチ

体長21〜28mmで、胴体の黄色または赤褐色の紋が特徴的なスズメバチです。北海道から九州にかけて分布しており、攻撃的ですが、毒性はオオスズメバチ、キイロスズメバチに比べると少し弱いです。

つりがね型の巣を屋根裏、壁の穴などに作り、閉鎖空間を好みます。モンスズメバチの最大の特徴は、夜間の行動です。多くのスズメバチは夕方に行動をやめ巣に帰ってきますが、モンスズメバチは日没後も行動するため、駆除の際は帰巣後に行う必要があるため注意しましょう。

チャイロスズメバチ

体長17〜24mmで、赤褐色の体が特徴的なスズメバチです。北海道から本州にかけて分布しており、攻撃的ですが、毒性は弱いです。発見例が少ない希少なスズメバチです。

つりがね型の巣を屋根裏、壁の穴などに作り、閉鎖空間を好みます。

チャイロスズメバチの最大の特徴は、キイロスズメバチやモンスズメバチの巣に女王蜂が単独で乗り込み、乗っ取る「社会寄生性」を持つことです。気性の荒いキイロスズメバチやモンスズメバチの巣に単独で戦いを挑むため、女王蜂のあごや毒針は発達しており、外骨格は硬く作られています。

ツマグロスズメバチ

体長20〜22mmで、腹部が黄色と黒にはっきり分かれているのが特徴的な小型のスズメバチです。宮古島以南に分布しており、刺激した場合の攻撃性は強いですが、毒性はそれほど強くありません。
球状の巣を木の枝、草むらなどの開放空間につくります。また、台風対策として低い位置につくる習性があります。

ツマアカスズメバチ

体長24mmほどで、黒を基調とした体に黄色の縞があるスズメバチです。インドネシア・中国を原産とする特定外来種に指定されているスズメバチで、九州や大分県に分布しています。攻撃性や毒性は強く、標的を執拗に追いかける危険なスズメバチです。

大きく縦長の涙型の巣が特徴的で、初期は草むらや地中に作りますが、手狭になると木の枝などに引っ越す習性があります。

もともとは森林などに住んでいましたが、都市部に進出する動きを見せているため、注意が必要なスズメバチです。

コガタスズメバチ

体長25〜29mmほどで、黄色と黒の縞模様のある、オオスズメバチに似ていますが小型のスズメバチです。日本全国に分布しており、攻撃性はありませんが毒性は強いため注意が必要です。

球状の巣を木の枝や生け垣などの開放空間につくる習性があります。

都市部への順応性も高く、被害が増えているため注意が必要なスズメバチです。

ヒメスズメバチ

体長25〜36mmほどで、黄色と黒の縞模様を持つ、細めで大きいスズメバチです。北海道以外の日本全国に分布しており、スズメバチとしては珍しい、非常に大人しく毒性も弱い種類です。

つりがね型の巣を木の枝や生け垣、軒下などの開放空間につくる習性があります。

攻撃性が低いため危険性は低いですが、敵への威嚇は行います。むやみに刺激しないようにしましょう。

クロスズメバチ

体長10〜12mmほどで、黒と白の縞模様を持つ、個性的な色が特徴のスズメバチです。沖縄以外の日本全国に分布しており、攻撃性は少なく毒性も弱いスズメバチです。
球状の巣を土の中につくる習性があり、小さな体で日本最大級の巣を作ります。
岐阜県や長野県の山間部で食用として親しまれており、貴重なタンパク源とされています。

スズメバチの危険性

ここで、スズメバチの危険性について確認しておきましょう。オオスズメバチのように、攻撃性が非常に強く、毒性も強い種類は非常に危険です。人を襲う理由や毒の危険性を知り、危険から身をまもりましょう。

被害の件数

スズメバチやアシナガバチ、ミツバチに刺される事故は、年間数千件にのぼります。活動が活発になり、攻撃性も増す夏に事故件数は集中しています。

中でもスズメバチの被害は深刻です。スズメバチに刺されて亡くなる人は、毎年20人前後発生してしまいます。近年は減少傾向ですが、スズメバチに刺されると死亡するリスクがあることを頭に入れておきましょう。

スズメバチはなぜ人を襲うのか

スズメバチは、通りかかった人を闇雲に刺しているわけではなく、自分や巣を守るために人を攻撃しています。巣の周りを警戒しているスズメバチはもちろん、巣から出てエサや巣の材料を集めているスズメバチに出会っても、手で払うなどで刺激してはなりません。

巣に近づいてしまった場合は注意が必要です。スズメバチがつきまとってくる、ホバリングしながら警戒音を出すなどの状況が見られた場合は、巣が近くにあるサインです。すぐさまその場を立ち去りましょう。

スズメバチの毒の危険性

スズメバチの毒は痛みやかゆみをともない、ときには呼吸困難、意識障害を引き起こす可能性があり、危険性が高いです。毒液を噴射して攻撃されることもあり、目に入ると失明の危険性があります。

また、毒にはフェロモンが含まれており、仲間を呼び寄せる作用があり非常に厄介です。刺された場合は応急処置も大事ですが、他のスズメバチの攻撃から身を守るため、すぐにその場を立ち去りましょう。

アナフィラキシーショックにかかる可能性

刺された人の10〜20%がアナフィラキシーショックを発症します。アナフィラキシーショックとは、呼吸困難や血圧低下などを起こし、最悪の場合死に至るアレルギー反応です。一度刺された場合に体の中に抗体ができ、再度刺された場合に抗体が過剰反応を起こすことで発生するといわれています。なお、毒の量によっては一度刺されるだけで引き起こされる場合があるため、刺されたことがないからといって安心はできません。

呼吸困難や血圧低下、意識障害などの重い症状が見られた場合は、すぐに救急車を呼びましょう。

スズメバチに刺されたときの対処方法

スズメバチに刺された場合は、その場を離れ、安全な場所まで移動します。毒にはフェロモンが含まれているため、他のスズメバチが寄ってこない位置まで離れることを覚えておきましょう。スズメバチから離れ、安全が確保できてから応急処置を施します。

流水で洗いながら鋭くないもので毒針を取り除く

スズメバチの毒は水溶性であるため、流水で洗うと毒が薄まります。蜂に刺されたときはアンモニアが効くといわれていますが、迷信ですので流水を使いましょう。

針が体に残っていた場合はピンセットなどで針を取り除き、ポイズンリムーバーや手などで毒を絞り出します。口で吸い出す処置は、毒が体内に侵入する可能性が高いため絶対にしてはなりません。

冷湿布をする

患部が腫れることが多いので、氷で冷やしたり、冷湿布を当てたりすると効果的です。抗ヒスタミン剤やステロイド剤の軟膏があれば患部に塗ると炎症を抑えられます。

患部を持ち上げる

手足を刺された場合は、毒が全身にまわるのを遅らせるため、患部を心臓よりも高い位置に上げて安静にしましょう。

スズメバチから身を守る方法

スズメバチに襲われないためには、巣に近づかないのが一番です。しかし、土の中に巣を作るスズメバチも多いため、知らない間に接近してしまうこともあります。スズメバチが多く生息する山や森の中に入る場合は、襲われにくい方法を熟知しておくと、安全に通行できるため覚えておきましょう。

ハチの活動時間に注意する

スズメバチが活発に活動する時間は被害が多いため、注意が必要です。巣で繁殖が盛んな9〜10月の昼間はとくに活発であるため、スズメバチの生息していそうな山や森を無理に通行することはやめましょう。

肌を出さない、服装に気を付ける

肌が露出していると、蜂から身を守れません。蜂に限らず、蚊やアブ、毛虫の被害にあう可能性もあるため、肌の露出は避けるべきです。

また、スズメバチは黒などの濃い色に強く反応します。クマなどの天敵と勘違いして襲われることがあります。濃い色の服装は避けましょう。

ハチを刺激する行動をとらない

一番はスズメバチを刺激しないことです。スズメバチに遭遇すると恐ろしいですが、反射的に手で払ったり、大声を出したりすると反応して襲われる可能性があります。土の中のスズメバチの巣に気づかず、意図せず接近してしまい、スズメバチの警戒行動を受けた場合は、あわてず静かにその場を去りましょう。

まとめ

スズメバチの見分け方や種類、正しい対処法について詳しく解説してきました。スズメバチは多くの種類が存在し、遭遇すると危険な種類も存在します。

とくに危険なのは凶暴で毒も強いオオスズメバチです。大型で、黄色と黒色の縞模様の胴体を持ち、多層に重ねられたつりがね型の巣が特徴的です。また、土の中の巣を作る習性から、山や森を通行する際は覚えておくと危険なスズメバチを回避できます。

スズメバチの警戒行動を目にしたら、すぐにその場を離れることが重要です。万が一、刺された場合はアナフィラキシーショックのリスクがあるため、状況によっては救急車を呼びましょう。

スズメバチが活発な時期は被害も増えてしまいます。いざというときに適切に対処できるよう、スズメバチについての対処法を覚えておきましょう。

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