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【ヤスデ駆除】ヤスデとムカデの違いは?生態や侵入経路から予防方法・駆除方法まで解説!

ヤスデとムカデは、どちらも家の周囲にあらわれる小型の生き物ですが、姿や特徴には異なるポイントがあります。その特異な姿や習性から、ヤスデに不快感を覚え、駆除したいと考える人も少なくないでしょう。この記事では、ヤスデとムカデの違いについて詳しく解説し、ヤスデを予防・駆除するための効果的な方法をご紹介します。

目次

・ヤスデを駆除したい!
・ムカデとヤスデの違いは?
 └ムカデの特徴
 └ヤスデの特徴
 └見分け方
・ヤスデが大量発生するのはなぜ?
 └産卵サイクル
 └集まる習性
・ヤスデの被害
 └体液が臭い
 └見た目の不快感
 └実は益虫…!?
・ヤスデを駆除する方法
 └木酢液の散布
 └薬剤・農薬の散布
・ヤスデの発生を予防する方法
 └玄関やドア・窓に殺虫剤を散布する
 └家の周りに殺虫剤を散布する
 └水はけを良くする
 └落ち葉や枯れ葉を掃除する
・業者に依頼する場合
 └駆除費用の相場
 └業者を選ぶ際のポイント
・まとめ

ヤスデを駆除したい!

ヤスデは多くの人にとって見た目が不快な存在で、ちょっとした恐怖感を抱かせることもあります。「咬まれたり襲われたりするのではないか」と不安になり、可能な限り遭遇を避けたい人も多いでしょう。しかし、ヤスデの特徴や、あらわれた場合にどのように対処すればいいのか知らない人も多いのではないでしょうか。

ムカデとヤスデの違いは?

ムカデとヤスデは、両方とも節足動物の一種ですが、生態や外見にはいくつかの違いがあります。

ムカデの特徴

ムカデは、漢字で「百足」と書き、その名の通り多くの脚をもつ節足動物です。実際の足の数は100本もなく、20〜40対程度です。

体長は5cmから20cm程度で、湿気の多い場所や暗い場所を好んで生息しています。体には多くの節があり、ひとつの節に対してひとつの足が生えているのが特徴です。

春の5月から6月頃は産卵期であるため、活動が活発です。また、9月から10月頃は、春に生まれたムカデが成長して活動する時期のため、よく見られます。暑い夏は苦手とされ、活動的ではありません。1年で活発に活動する時期が2回あるのが特徴です。

ムカデの食性は肉食で、ゴキブリなどの昆虫を捕食しています。攻撃性が高く、餌であるゴキブリを追って人家に侵入し、人間やペットが咬まれてしまうことがあるため、注意が必要です。ムカデはあごに毒を持っており、咬まれると激しい痛みや炎症を引き起こすことがあります。

ヤスデの特徴

ヤスデはムカデとよく似た体の構造をしていますが、足の数は約30対程度です。

体長は2cmから7cmほどと、ムカデよりも小型です。湿気の多い場所や暗い場所を好む点において、ムカデと似た習性を持っています。

8月から9月の産卵で産まれたヤスデの幼虫は土の中で育ち、梅雨の頃に成虫になると、地上に出て活動します。幼虫の間は土の中の腐植物質を食べ、成虫になると腐植物質に加え、落ち葉や枯れ葉なども食べます。ムカデと違い肉食ではありません。

ヤスデは大人しく攻撃性が低いため、人に咬み付くことは非常にまれです。ただし、踏んだり触れたりすると毒腺から異臭を放つことがあります。毒腺とは、ヤスデの体表にある有害物質を分泌する器官のことで、直接手などで触れると痛みを伴うことがあります。

見分け方

ムカデとヤスデは見た目が似ているため、間違われることがありますが、いくつかの違いがあります。

最も簡単な見分け方は、脚の数を確認することです。ムカデはひとつの節から1本ずつ脚が生えているのに対し、ヤスデは、ひとつの節から2本ずつ脚が生えています。

体の形でも見分けられます。ムカデの幼虫は平たく、長い脚と触覚を持っている一方、ヤスデの成虫は厚みがある半筒状で、足と触覚が比較的短いです。

動きの速さにも違いがあります。ムカデは非常にすばやく動く傾向があり、場合によっては人を咬むこともあります。一方、ヤスデはゆっくりとした動きで、人を襲うことはほとんどありません。

ヤスデが大量発生するのはなぜ?

特定の環境下では、ヤスデを大量に見かけることがあります。その理由を探ってみましょう。

産卵サイクル

ヤスデは5月から7月にかけて大量発生する傾向があります。これは産卵サイクルが原因です。ヤスデは8月から9月にかけて、一度に150個から300個の卵を産み、10月下旬に子どもが孵化します。その後、梅雨の頃になると成虫になり、一斉に地上にあがってきます。

土の中にいて見えなかった多くのヤスデが梅雨の頃に地上で多く発見されると、大量発生したように感じるのです。

集まる習性

ヤスデは攻撃力に乏しいため、敵に襲われるリスクを下げ、個体の生存率を高めようと、集団で行動する習性を持っています。

そのため、ヤスデが発生している場所では、一匹だけではなく、複数匹のヤスデを見かける傾向があるため、大量発生したように感じます。

大量発生する習性は、ときに大きな事故につなることもあります。1976年に、山梨と長野の県境において、ヤスデが多く発生しすぎた結果、公共交通機関に影響を与えるという出来事がありました。大量発生したヤスデが線路に侵入し、列車がスリップしてしまったのです。したがって、自治体や鉄道会社からも、良い印象は持たれていない存在です。

ヤスデの被害

ヤスデの被害には、どのようなものがあるのでしょうか。ここからは、ヤスデがもたらす被害について確認していきましょう。

体液が臭い

ヤスデの被害のひとつとして、刺激臭のある体液が悪臭を放つことが挙げられます。ヤスデのあごに毒はないため、咬まれても直接的な危険はありません。しかし、毒腺から分泌される体液には青酸やシアンが含まれています。この体液が皮膚につくと、傷んだり水疱になったりすることもあるので注意が必要です。

見た目の不快感

ヤスデの見た目は一般的に不快感を与えるものです。細長い体に多くの足を持つヤスデは人間の体とかけ離れた構造をしており、多くの人が嫌悪感を覚えるでしょう。群れて行動する習性があり、湿度の高いジメジメした場所に出現することから、さらに不快感や恐怖感が強まってしまいます。

実は益虫…!?

ヤスデは腐敗物を分解し、土壌を健全に保つという、生態系において重要な役割を果たしています。腐った葉っぱや落ちた枝などの有機物を分解することで、自然の循環を助けているのです。

腐った葉などは食後に糞として排出されますが、これも自然界に役立っています。ヤスデの糞には豊富な栄養が含まれているため、植物の肥料として利用できるのです。

このように、ヤスデは自然界で重要な役割を果たす益虫とも言えるのです。

ヤスデを駆除する方法

ヤスデを駆除するには、いくつかの方法があります。以下に、代表的なものを紹介します。

木酢液の散布

木酢液とは、炭を作るために木材を焼いた煙から抽出する液体であり、農業や害虫駆除に広く利用されています。ヤスデは木酢液の匂いを嫌い、その近くに寄り付かない傾向があります。

木酢液は天然素材から作られているため、人やペットに対してほとんど害は無く、安心して使用できます。

しかし、木酢液には殺虫剤ほどの効果はないため、忌避剤として予防に使うのが良いでしょう。

薬剤・農薬の散布

ヤスデの駆除には、薬剤や農薬の使用が効果的です。ヤスデは動きがすばやくないため、スプレータイプで吹きかけるのが手軽で良いでしょう。スプレータイプに含まれるピレスロイド系の成分を、直接ヤスデに吹き付けることで、瞬時に死滅させられます。
ピレスロイド系成分は、スプレータイプの薬剤に多く含まれており、害虫駆除に広く使われています。モンフルオロトリンやシラフルオフェンなどがヤスデに有効に作用するため、すばやく確実に仕留められます。即効性があるため、ヤスデ以外の動きがすばやい害虫にも効果的です。

ピレスロイド系成分は人間の体内に入ってもすみやかに排出されるため、安全性が高く、おすすめです。

ヤスデの発生を予防する方法

ヤスデが家に侵入するのを予防するためには、以下の方法が効果的です。

玄関やドア・窓に殺虫剤を散布する

ヤスデの侵入を防ぐには、その侵入経路に殺虫剤を散布することが有効です。まず、ヤスデが侵入しうる箇所(玄関、ドア、窓など)を見つけましょう。ヤスデは細長く柔軟な体を活かして、細かな隙間や割れ目から侵入するため、隙間や割れ目がある箇所は特に注意が必要です。

ヤスデが侵入する可能性のある箇所を見つけたら、そこに殺虫剤を散布することで侵入を防げます。さらに、ヤスデが潜んでいそうな場所に吹きかけることで、その場から去らせる追い出し効果もあります。

予防策として効果的なのが、ピレスロイド系のスプレーです。これはヤスデを直接殺すだけでなく、忌避効果もあります。しかし、一度の散布だけでは効果は続きません。ピレスロイド系の殺虫剤は光や空気で分解しやすい性質があるため、定期的に散布することが重要です。殺虫剤の表示を確認し、適切なタイミングで散布しましょう。

また、面倒な場合は、設置するだけで効果が持続する殺虫剤も利用できます。ヤスデがよく通ると予想される場所に設置するだけで、侵入を効率的に防ぐことができます。

家の周りに殺虫剤を散布する

侵入経路や家の周りに殺虫剤を散布することで、家への侵入を防げます。家の周囲に撒く殺虫剤は、粉状のものがおすすめです。部分的に巻くのではなく、隙間なく家を囲いましょう。また、梅雨時のヤスデは水を避けて家の壁面を登る性質があります。したがって、壁付近に殺虫剤を撒くのも効果的です。

水はけを良くする

ヤスデは湿気が多い環境を好み、ジメジメした場所に移動する習性があります。とくに梅雨などの雨が多いシーズンには、水溜りができてヤスデの幼虫が水に浸かり溺れてしまうことがあるため、この頃に地中から脱出して活動する傾向があります。

土壌の水はけを良くするためには、凹凸を埋める、地面を傾斜させて水が外に流れやすくするなどが有効です。

水はけを良くすると同時に、湿気がたまらない工夫をしましょう。庭に日陰になりやすい部分があると、その土は湿りやすくなります。日光を遮る庭木や植木鉢、プランターなどは剪定するか場所を移動させ、ヤスデが好む日陰を作らないようにしましょう。

また、屋内の湿気を取り除くことで、ヤスデの侵入を予防できます。除湿剤やエアコンによる除湿で、屋内の湿気を取り除きましょう。また、湿気の溜まりやすい布団やマットレスは、定期的に干す必要があります。

落ち葉や枯れ葉を掃除する

落ち葉や枯れ葉はヤスデの餌となるため、定期的に清掃しましょう。家の周りに落ち葉や枯れ木が積もっていると、ヤスデの格好の住処となってしまいます。

また、水溜りを放置すると、そこに落ちた葉が腐りやすくなり、ヤスデが寄ってきやすくなります。落ち葉や枯れ葉をしっかりと掃除し、餌をなくすことが重要です。

業者に依頼する場合

ヤスデの駆除や予防において、自力で解決できない場合は業者に依頼することも考えましょう。業者に依頼するメリットは、専門知識と経験を持ったプロフェッショナルが対応してくれることです。駆除業者に依頼するときに押さえておきたいポイントを解説します。

駆除費用の相場

ヤスデの駆除にかかる費用は、一般的には50平方メートルあたり1万5,000円から5万円程度とされています。ただし、これは目安の金額であり、具体的な費用は駆除業者や駆除の規模・状況により変わります。一般的には、駆除するヤスデの数や侵入範囲が広がるほど、また大規模な駆除作業や複数箇所での駆除が必要となるほど、費用は増加する傾向にあります。
さらに、駆除業者が使用する薬剤やその他の駆除手段によっても費用は異なります。駆除作業に要する期間が長いほど費用は高くなる可能性もありますので、駆除業者を選ぶ際にはこれらの要素を考慮することが重要です。

業者を選ぶ際のポイント

ヤスデ駆除の業者選びでは、単に安いからといって選ぶのではなく、信頼できる業者を選ぶことが大切です。以下、選び方の参考となる要点をお伝えします。

まず、ヤスデ駆除の実績が豊富である業者を選びましょう。駆除作業は知識と経験が求められます。駆除実績が多ければその分だけノウハウが蓄積されていると言えます。したがって、豊富な実績がある業者を選ぶことで、駆除作業の信頼性が高まります。実績については、過去の事例や顧客の評価を確認すると良いでしょう。

次に、見積もりの詳細さと料金の明確さも重要です。見積もりは駆除作業の内容や料金の詳細を表していますので、十分な情報が示されているかどうかを確認しましょう。また、追加料金や隠れた費用がなく、全体の料金が明確に記載されていることも重要です。中には不適切な請求をするところもありますので、不明な点や不安な点がある場合は、業者に問い合わせることをおすすめします。

最後に、保証が充実しているかどうかもチェックしましょう。良質な業者は、駆除後に再発する可能性を考慮し、一定期間は無料で再駆除を行う保証を設けています。保証期間や内容がしっかりしていることを確認すれば、もしもの時も安心です。

まとめ

ヤスデとムカデは一見すると似たような外見であり、湿度の高い場所や暗い環境を好むところも似ています。しかし、ヤスデは主に落ち葉や枯れ葉を食べて生活する一方で、ムカデはゴキブリなどを捕食する肉食です。

ヤスデの予防や駆除は個人でできるものも多いですが、難しければ業者に依頼しましょう。業者に依頼する場合には、単純に価格だけで選ぶべきではありません。高い実績や見積書の詳細な記載、保証制度の充実などを重視すると、優良な業者を見つけられる可能性が高まります。ヤスデに悩まされている方は、しっかりと予防・駆除をし、必要であれば駆除業者を活用して、快適な生活環境を取り戻しましょう。

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