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【シロアリ 予防】シロアリを発生させる前に…!事前にやっておくべき対策法について紹介!

シロアリは住宅に深刻な被害をもたらします。家の木材を食べられることで床がゆるくなり、耐震性が低下することもあります。主要な構造材がシロアリによって空洞化されると、建物の倒壊の危険性も高まるので注意が必要です。シロアリ被害がある家は、地震などの災害時に家が倒壊するリスクも高まってしまいます。今回は、シロアリ予防の重要性をはじめ、具体的な予防方法や駆除に関する注意点について解説します。

目次

・シロアリ予防の重要性
 └シロアリが生息しやすい環境
 └家の中でシロアリが増加しやすい場所
・シロアリ被害を受けた家屋の実例
 └床下
 └玄関
 └浴室
 └内装材
 └建物外ー敷地
・具体的なシロアリ予防方法
 └定期的な点検
 └発生しそうな場所の消毒
 └「消毒液」って体に悪い?
・シロアリ予防消毒工事とは
 └バリヤ工法
 └ベイト工法
 └費用の相場
・業者に依頼する際の注意点
 └相場
 └費用の追加請求
 └アフターサービスの有無
・シロアリ被害にあった際の費用
 └シロアリの駆除費用
 └家のリフォーム費用
・自分でシロアリを駆除する場合の注意点
 └駆除しきれない
 └危険な床下作業
・まとめ

シロアリ予防の重要性

シロアリは住宅にとって深刻な脅威です。シロアリは木材、柱、壁などをエサとし、住宅の土台に被害を与えます。シロアリの繁殖が進むと、土台の木材は食べられて耐久性を失い、住宅の傾きや崩壊の原因となります。

築年数が浅ければシロアリの被害を心配しないかもしれませんが、10年未満の新築住宅でもシロアリの被害が報告されています。築浅だから安心と考えず、定期的な点検とメンテナンスを怠らずに行うことが何よりも重要になります。早期発見と適切な対処が、住宅の安全と長寿命を保つために欠かせません。まずは、シロアリが生息しやすい環境や家の中で増加しやすい場所をチェックしてみましょう。

シロアリが生息しやすい環境

シロアリが生息する条件は、湿気があって乾燥していないこと、木材などの食べ物があること、そして水があることの3つです。特に木材やゴミなどシロアリのエサとなるものが家の周りにある場合は、注意が必要です。また、「布基礎」と呼ばれる床下の地面に土が見えている住宅は湿気がこもりやすく、シロアリのリスクがより一層高まります。シロアリは建物の構造や家具などを壊し、大きな被害をもたらすこともあるので徹底して予防しましょう。住宅の周りの環境を整えること、木材やゴミは片付けること、湿気を逃がすための換気を心掛けることが重要です。

家の中でシロアリが増加しやすい場所

シロアリにとって理想的な環境は、気温が10度以上で暖かく、湿気のある場所です。住宅の床下は、シロアリにとって非常に魅力的な場所といえるでしょう。床下は夏も冬も温度変化が少なく、湿度も高いため、シロアリが増加しやすい場所となります。さらに、風呂場をはじめ、洗面所、キッチン、トイレ付近の床下も、水を利用するため湿度が高く、シロアリにとって居心地が良いです。庭がある住宅であれば、ウッドデッキ、枕木、植物などの周辺もシロアリが増加しやすい場所となります。庭にものを置いていると雨水に濡れ続けるため常に湿り、シロアリにとっては巣作りに適した場所になります。シロアリを防ぐためには、床下や水回りの湿度を管理し、定期的な点検を行うことが重要です。湿気を減らすための換気や防湿対策を行うことで、シロアリの発生を予防することが可能です。

シロアリ被害を受けた家屋の実例

シロアリ被害は、家屋の安全性や耐久性に深刻な影響を与える可能性があります。特に木造家屋では、床下や玄関、浴室など、普段は見逃されがちな場所での被害が心配されます。多くの人が「シロアリによって家が倒壊するのではないか」と不安に感じるかもしれませんが、シロアリ被害だけで建物が倒壊することは稀です。しかし、シロアリが家の構造材である柱や梁を食べることで、耐震性が低下し、地震などの自然災害の際に倒壊リスクが高まります。
実例として、2007年の新潟中越沖地震では、最も被害の激しかった柏崎市周辺の家屋のうち、約7割にシロアリ被害が見られました。また、阪神淡路大震災では、蟻害や腐朽が発生していた住宅の約9割が倒壊したという調査結果もあります。これらの事例は、シロアリ被害が建物の耐久性に重大な影響を与えることを示しています。
シロアリによる被害を防ぐためには、定期的な点検と適切な対策が重要です。シロアリの早期発見と対策により、家屋の安全性を確保し、災害時のリスクを最小限に抑えることができます。
下記では、シロアリ被害を受けた家屋の実例に基づき、被害の起こりやすい箇所や効果的な対処法を詳しく紹介します。建物の安全を守るための重要なポイントを解説していきます。

床下

床下のシロアリ被害は、木材が露出しているため比較的見つけやすいものの、普段の生活では確認しづらい場所です。そのため、知らぬ間に食害が進行し、被害が広範囲に及ぶことがあります。特に、構造の要となる大引きや根太、束柱、土台などに被害が出ると、建物の強度が低下する恐れがあります。
シロアリによる食害が進行すると、補強や修繕が必要となります。被害部分に蟻道や土が混ざるため、ヤマトシロアリの被害は他のシロアリよりも汚れが目立ち、特徴的です。シロアリ被害を防ぐためには、定期的な点検と早めの対処が重要です。

束柱のシロアリ被害

根太材のシロアリ被害

大引材のシロアリ被害

土台のシロアリ被害

玄関

玄関は、構造的に床下空間がないため、シロアリ被害が比較的見つけやすい場所です。具体的な侵入経路は、玄関タイルの裏側にある地面や側面の隙間から侵入し、内装材を食害することが多いです。被害が進行すると、玄関ドア枠や上がり框(かまち)、巾木など、地面から近い部分に影響が及びます。
シロアリ被害が表面にまで現れると、その被害が数年にわたって進行している可能性があります。玄関は家の顔ともいえる場所ですから、被害を見逃さないためには定期的な点検が欠かせません。構造上のダメージを防ぐためにも、早めの対策を心掛けましょう。

玄関ドア枠の被害

玄関框の被害

浴室

浴室は、現在の主流であるユニットバスではシロアリ被害が減少していますが、在来工法でタイルを使った浴室では被害が多発しています。構造が玄関と似ているため、被害傾向も似たものとなります。タイルの裏側や床下から侵入したシロアリが、浴室入り口枠や敷居などを食害するケースが多いです。
浴室では木材が使われることが少ないため、シロアリ被害を見つけるのが難しいですが、隣接する洗面所のドア枠や巾木などに被害が及ぶことで気づかれることが多いです。被害を防ぐためには、定期的な点検と適切な対策が重要です。浴室周辺の点検を怠らないようにしましょう。

浴室入り口枠のシロアリ被害

敷居のシロアリ被害

内装材

内装材におけるシロアリ被害の事例では、玄関や浴室が最も被害が多い場所ですが、それ以外の部屋でもシロアリによる食害は見られます。フローリングや化粧柱に被害が発生した事例では、床下の木材を経由してシロアリが上方向に進み、室内に到達していました。
シロアリ被害は、最初は気づかれにくいですが、放置していると内装材の表面にまで被害痕が現れることがあります。フローリングや柱などの内装材に被害が出ると、見た目の損傷だけでなく、構造的な問題も生じるため、早期発見と対策が重要です。家の安全と美観を保つためにも、定期的な点検と対策を行いましょう。

フローリングのシロアリ被害

柱のシロアリ被害

建物外ー敷地

建物の外では、ウッドデッキや枕木、ラティスフェンスといった木製エクステリアがシロアリの被害に遭うことがあります。特に、屋外に木材や廃材を置いておくと、そこにシロアリが付きやすくなります。
シロアリは木材の内部を食べるため、見た目ではわかりにくいことも多いです。被害が進行すると、木材の表面に土が付着していることがあり、これがシロアリ被害の特徴のひとつです。
敷地のシロアリ被害を防ぐためには、木材や廃材を屋外に放置せず、定期的な点検と対策が必要です。屋内だけでなく、屋外のエクステリアも注意して見ておきましょう。

木材のシロアリ被害

ウッドデッキのシロアリ被害

具体的なシロアリ予防方法

シロアリが住宅に及ぼす影響や生息・増加しやすい環境や場所について学んだところで、具体的な予防方法をご紹介します。

定期的な点検

シロアリ被害を防ぐには、定期的な点検が不可欠です。特に、庭にある土に接するものには注意が必要です。鉢植えなどは、シロアリが這い上がりやすいため、配置場所に気を配りましょう。また、トレリスやウッドデッキは、防腐や防蟻効果のある素材に交換することで、シロアリの侵入を防げます。
シロアリは木材を好むため、庭や外壁周り、車庫などの木材は撤去しておくと安心です。さらに、シロアリは水を求めるため、屋根や外壁の水漏れや雨漏りを放置すると被害が広がります。定期的なチェックで問題がないか確認しましょう。
また、換気口の前に物を置くと、床下の通気が悪くなり湿気が溜まりやすくなります。換気口周りを片付けて、空気の流れを良くすると、床下の湿度を下げることができます。木くずや羽アリを見つけた場合は、シロアリがいる可能性があるので、すぐに専門家に相談して点検を依頼しましょう。庭にあるものは、シロアリの侵入口となりやすいので、こまめな確認と対策を心掛けてください。

発生しそうな場所の消毒

一般的な木造住宅は、新築時にシロアリ予防の薬剤処理が行われます。家を建てた時点では、対策が必要なケースはほぼありません。しかし、薬剤の有効期間は約5年です。薬剤の効果が薄れていくので、5年が経過したら新たに発生しそうな場所に消毒を行い、予防対策を講じる必要があります。

「消毒液」って体に悪い?

シロアリ予防消毒工事に使われる薬剤の種類については後に説明しますが、薬剤を使用する際は、子ども、ペット、観葉植物、水槽などを避難させておくのがおすすめです。市販されているものや業者が使う薬剤によって成分は異なります。一般的に、シロアリ予防消毒に使われる薬剤は、危険性は低いものの、無毒ではないため、吸い込んだり皮膚に付着したりするのは好ましくありません。例えば、シロアリを窒息させる効果があるフェニルピロール系薬剤は人やペットに対しても強い毒性を発揮します。シロアリを追い払う効果があるフェニルピラゾール系も人やペットに影響があるおそれがあるので危険です。

シロアリ予防消毒工事とは

シロアリを普段の生活で見つけるのは、ほぼ不可能です。シロアリは暗い場所に潜み、床下の木材や柱、畳の下などに生息するため、目視では確認できません。さらに、一度住み着くとすぐに繁殖を始め、被害は急速に広がってしまいます。シロアリ対策で重要なのは、シロアリが発生してから駆除するのではなく、シロアリが住み着く前に予防を行うことです。人間の病気と同じで、被害が深刻になってからでは処置が大変になります。シロアリを予防するには、消毒工事を行うのが一般的です。こちらでは、いくつかの工法の中からベーシックな2つの工法をご紹介します。

バリヤ工法

シロアリ予防の「バリヤ工法」は、最も基本的な予防消毒方法です。バリヤ工法は、床下に薬剤を散布するだけでなく、基礎や土台木材にも薬剤を吹き付けたり注入したりすることで、シロアリの生息環境を作らないようにします。ただし、子ども、ペット、観葉植物、水槽などが薬剤と触れると有害なこともあるので注意が必要です。バリヤ工法は即効性があり、薬剤の効果は5年程度持続するように設計されています。シロアリが住み着く前に行う対策として非常に効果的です。

ベイト工法

「ベイト工法」は、シロアリが摂取するエサ(毒剤)を家の周りに設置してシロアリを駆除します。ベイト工法のメリットは、薬剤を散布しないため安全性が高いことです。また、薬を注入するために基礎や土台木材に穴を開けずに済みます。ただし、シロアリが住み着かない環境を作るわけではなく、効果もあまり強くありません。シロアリがエサを食べるまで待たなければならないので、即効性があるとは言い難い方法です。予防対策としてはバリヤ工法を選び、駆除にはベイト工法を選ぶのが一般的です。ベイト工法はバリア工法に比べると費用もやや高めの傾向があります。

費用の相場

住宅の構造や業者によって費用は異なりますが、一般的に30坪あたりの費用相場は、バリア工法の場合20万円程度、ベイト工法の場合26万円程度になります。基本的にバリア工法よりベイト工法のほうが費用相場が高い傾向にありますが、バリア工法は広範囲に薬剤を使うため、幼児やペットがいる家庭では安全性を考えてベイト工法を選ぶこともあります。

業者に依頼する際の注意点

10年未満の築浅の家でもシロアリ被害にあうケースも報告されているため、住宅を所有している人なら定期的な点検やメンテナンスが必要です。シロアリは発生してからではなく予防が肝心なので、早めに信頼できる業者を見つけておきましょう。以下のような注意点をチェックして業者を比較するのがおすすめです。

相場

具体的な費用は以下のような内容が考慮されます。現地調査を行い、見積りを出すのが一般的です。

・家の間取りや構造
・シロアリがどこにどの程度いるか
・被害状況
・追加工事の有無

一般的な坪数(㎡)あたりの費用相場は以下のとおりです。先にもご紹介した工法や業者によって、費用に大きな差が出てくるので相場と大きな差がないかチェックしてみましょう。

・20坪(66㎡) 13~14万円程度
・30坪(99㎡) 20~21万円程度
・40坪(132㎡) 26~27万円程度
・50坪(165㎡) 33~34万円程度

費用の追加請求

悪質なシロアリ業者の中には、見積り費用以外に追加請求を行うことがあります。依頼者に了承を取らないまま必要ではない追加工事を行って、後から高額な駆除費用を請求するケースもあるので注意が必要です。見積りの際に、相場よりも安すぎる場合や高すぎる場合は、下記を必ず業者に確認しましょう。
・どのような作業にどのくらいの費用がかかるのか?
・なぜ安い(高い)のか?
・追加費用が必要どうか?
・必要な場合は事前に確認してもらえるか
説明が怪しい場合や工事を急かす業者は避けたほうが無難です。

アフターサービスの有無

作業をいかに徹底的に行っても、建物の構造などにより、シロアリ被害を完全に処理しきれない場合や再発生の可能性があるため、多くの業者は保証期間やアフターフォローを提供しています。工事が完了した後、通常は工事完了報告書が依頼主に提供され、報告書にはアフターサービスに関する情報や連絡先が記載された書類が添付されます。

保証期間やアフターフォローの内容は業者によって異なるので、工事が済んでからではなく依頼する前に必ず確認しておきましょう。

例えば、保証期間である5年以内にシロアリが再発生した場合に、一部の業者では駆除処理もシロアリ被害にあった部分の修理費用も無償とするサービスを提供しています。しかし別の業者では、駆除処理を無料で行ってもシロアリ被害にあった部分の修理費用は含まれていないことがあるので、注意が必要です。

中には、修理費用を高額に請求する悪質な業者もいる可能性があります。見積りの際には、工事にかかる費用だけではなく、保証期間やアフターフォロー、保証期間中の無料点検の回数などもしっかりチェックしておきましょう。

シロアリ被害にあった際の費用

シロアリ被害にあった場合、被害を広げないための駆除や、壊れてしまった部分のリフォームに、それぞれ費用がかかります。具体的にどのくらいの費用が必要になるのか解説します。

シロアリの駆除費用

シロアリ駆除の費用相場は面積によって大きく異なりますが、一般財団法人経済調査会による統計では、駆除工事の価格は1㎡あたり3,250円(坪当たり10,725円)とされています。ただし、相場は業者のレベルによって大きな差があります。例えば、大手上場系企業では、1㎡あたり3,000円以上が一般的です。地域密着型の中規模業者になると3,000円以下で済むこともあります。インターネット集客型の企業であれば、1㎡あたり1,000円からというケースもあります。同じ工事であれば安い費用で済む業者に依頼したいという考え方は大変危険です。大手上場系企業は、費用が高くても工事品質が良かったり、アフターサービスが充実している傾向にあります。

費用相場は地域の特性によっても変わるので注意が必要です。都会は建坪が小さい家が多いため、施工単価が低すぎると赤字になってしまうことから、費用相場が高い傾向にあります。また、強力な加害力を持つシロアリが発生しやすい地域では、ほかの地域に比べ1.2~1.5倍程度高くなることもあります。費用が安い、または高いと感じるときは、躊躇せず業者に聞いて確認しましょう。

家のリフォーム費用

シロアリの被害が放置されると、床下の木材の腐敗や浴室の水漏れなどの問題が生じることがあります。問題が生じた場合は、単にシロアリ駆除を行うだけでなく、床下や浴室の修復・改修が必要になります。大規模なリフォームを行うとなると600万円を超える費用がかかるケースもあります。例えば30坪の一軒家の場合、先にご紹介したシロアリ予防消毒工事の相場は1回あたり20万円程度です。5年に1回、30年間で6回行ったとしても120万円程度にしかなりません。全く予防しなかった場合はリフォーム費用として600万円以上もの費用がかかってしまうので、シロアリ予防消毒工事をしたほうが安上がりな選択になることがわかります。

自分でシロアリを駆除する場合の注意点

シロアリ駆除の費用は安いとは言えないため、高額な費用をかけたくない方は自分で駆除しようと思われるでしょう。ただし、自分でシロアリを駆除する場合には以下のような注意点があります。駆除しきれないケースやケガのリスクを考えると、業者に依頼するのがおすすめです。

駆除しきれない

日光や乾燥を嫌うシロアリは、暗く湿度の高い場所に好んで生息します。木部や壁の中に潜んでいることが多いため、一匹残らず見つけるのは難しいでしょう。シロアリを見逃してしまうと食害が進み、被害はかえって拡大するので注意が必要です。また、自力で駆除する場合でも、道具や薬剤に費用がかかります。

危険な床下作業

シロアリを自分で駆除する際は床下作業を行う必要がありますが、非常に困難かつ危険です。狭い空間での移動中に身体がはさまってしまったり、適切な装備がない場合には、有害な塵やホコリを吸い込んでしまう危険性があります。また、長時間にわたる暗くて狭い環境での作業は、精神的な疲労を引き起こす可能性もあります。

まとめ

シロアリ被害は古い住宅に起こると思われがちですが、築浅の住宅でも、条件が揃えば起こります。今回はシロアリ被害の内容や予防・駆除についてご紹介しました。被害にあってからではダメージが大きすぎるので、ぜひ未然に被害を防ぐ対策を行いましょう。

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