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【ウリハムシ 駆除】植物に群がるウリハムシの駆除方法と予防法を解説!

せっかく育てた野菜や果物が、ウリハムシによって見た目が悪くなったり、商品価値が下がったりすることがあります。ウリハムシを駆除する場合は、まず生態や発生しやすい環境・時期を知ることが大切です。今回は、ウリ科の植物に被害を与えるウリハムシの特徴や駆除・予防方法について、くわしく解説します。家庭にあるもので簡単に駆除することも可能なので、ぜひ参考にしてください。

目次

・ウリハムシを駆除したい!
・ウリハムシの特徴は?
 └ウリハムシの生態
 └ウリハムシが発生しやすい環境・時期
・ウリハムシによる植物被害
 └ウリハムシが発生しやすい野菜
 └ウリハムシの被害を受けた植物の特徴
・ウリハムシの駆除方法
 └殺虫剤・農薬
 └おすすめは「マラソン乳剤」・「オルトラン液剤」
 └徹底的に駆除したいなら業者に依頼
・「無農薬」で駆除したい場合
 └ペットボトルトラップ
 └草木灰
・ウリハムシに対する予防法
 └コンパニオンプランツを植える
 └光るものを設置
 └薬剤を事前に散布する
 └寒冷紗や防虫ネット
・まとめ

ウリハムシを駆除したい!

きゅうりやかぼちゃなどの野菜を家庭菜園している方や、スイカやメロンなどのウリ科の農作物を栽培する農家にとって、ウリハムシは頭の痛い存在でしょう。ウリハムシは、収量を大幅に減らす厄介な害虫です。ウリ科の植物を育てている方は、ウリハムシの特徴やな駆除対策について知ることで収穫の成果を守ることができるようになるはずです。

ウリハムシの特徴は?

ウリハムシは、ウリ科の農作物にとって天敵とも言える厄介な害虫です。その防除は非常に難しく、一筋縄ではいきませんが、ウリハムシの生態を理解し、発生しやすい環境や時期を把握することで、効果的な対策を立てることが可能です。まずはウリハムシの特性や発生条件についてくわしく見ていきましょう。

ウリハムシの生態

ウリハムシは「ウリバエ」とも呼ばれる小さな甲虫です。甲虫とは、背中側に硬い体表を持った昆虫を指します。体長は7~9mm程度で、コガネムシのふた回りくらい小さなサイズです。ウリバエという別名がありますが、ハエの仲間ではなく、ハムシ科ウリハムシ属です。幼虫は体長10mm程度で白いウジ虫のような形をしています。幼虫は、細い根を食害しますが、成長すると太い根や茎にも潜り込むことも可能です。幼虫は約3~5週間かけて3回の脱皮を経た後、土中で繭を作ってさなぎになり、1~2週間後に羽化して成虫になります。

ウリハムシと似た種類の昆虫としては、クロウリハムシ、ヒメクロウリハムシ、ウリハムシモドキがいます。これらの昆虫をウリハムシと見分けるための重要なポイントは、成虫の体色です。ウリハムシの成虫はくすんだ黄褐色から橙黄色で、腹部は黒いのが特徴です。

ウリハムシが発生しやすい環境・時期

ウリハムシは本州のほとんどの地域で年に1回発生し、寿命はほぼ1年です。成虫は4月に越冬から覚醒し、ウリ科の植物の根元近くで産卵します。幼虫は土中で根を食べ成長し、7月下旬に地上に現れ、8月には発生がピークに達します。活動を始める頃には、インゲン、大根、白菜などの野菜の葉を食害することもあるので注意が必要です。9月下旬に成虫は越冬場所に移動し、10月中旬に冬眠へと入ります。ただし、温暖な地域では、9~10月に2世代目の成虫が発生することもあります。

ウリハムシによる植物被害

ウリハムシは、テントウムシに似た愛らしい外見を持っていますが、幼虫は植物の根に大きな被害を与える害虫です。植物の成長にとって重要な根にダメージを与えるため、最悪の場合、植え替えが必要になることもあります。また、成虫は非常に食欲旺盛で、放置すると葉は穴だらけになり葉脈しか残りません。

ウリハムシが発生しやすい野菜

ウリハムシが発生しやすいのは以下のようなウリ科の野菜や果物です。スイカやメロンは特に被害を受けやすく、場合によっては枯れてしまうこともあります。

・きゅうり
・かぼちゃ
・ゴーヤ
・ズッキーニ
・スイカ
・メロン

ウリハムシの被害を受けた植物の特徴

ウリハムシは、ウリ科植物の葉を円形や網の目状に食害するのが特徴です。葉に輪っか状の穴が開いている場合は警戒が必要です。また、果実の表面も損傷することがあり、その結果、商品価値が下がる可能性があります。

小さな苗の時期の幼苗期にウリハムシが多発すると、生育不良や枯死のリスクが高まります。特に露地栽培では春から初夏にかけての発芽期に、トンネル栽培では被覆資材除去直後に被害が目立ちます。施設栽培では、新成虫発生時期に注意が必要です。被害株は梅雨明け頃に萎れ始め、次第に萎凋・枯死してしまいます。

ウリハムシの幼虫は、根を食害したり茎に侵入したりすることがあるため、被害が目に見えづらく発見が困難です。被害が全滅や収量減少につながることもあるため、対策が必要です。

ウリハムシの駆除方法

ウリハムシを駆除する方法はさまざまあります。殺虫剤や農薬を使わない方法もありますが、即効性や確実性は劣ってしまので、リスクを承知のうえで行いましょう。確実に素早く駆除するなら、殺虫剤や農薬を使用するのがおすすめです。

殺虫剤・農薬

ウリハムシ駆除の最適な方法は、殺虫剤や農薬の使用です。害虫を駆除する成分が含まれており、高い即効性と確実な効果が得られます。ただし、無農薬野菜の栽培など、農薬を使わない方法を希望する場合には向いていません。

おすすめは「マラソン乳剤」・「オルトラン液剤」

殺虫剤・農薬の中でもおすすめなのは殺虫剤の「マラソン乳剤」と農薬の「オルトラン液剤」です。それぞれの特徴は以下のとおりとなります。

・マラソン乳剤
マラソン乳剤は、植物への薬害が少なめで広範囲の害虫に効果がある代表的な園芸用の殺虫剤です。根や葉から薬の成分が吸収される浸透移行性を利用しています。植物が殺虫成分を吸収することによって、植物全体が殺虫効果を持ちます。撒いた後だけではなく、撒いた後もしばらくのあいだ効果が維持できる点がメリットです。

・オルトラン液剤
オルトランもマラソン乳剤と同様に浸透移行性を利用しています。マラソン乳剤は殺虫剤ですが、オルトラン液剤は土に散布する農薬です。散布することで土にも殺虫成分が行き渡るため、土に発生する害虫に対しても効果があります。ただし、オルトランには複数の種類が存在し、野菜によっては使用できない場合もあります。対応している野菜を必ず確認し、使用の条件をよく読んでから利用しましょう。

徹底的に駆除したいなら業者に依頼

ウリハムシの駆除には、殺虫剤や農薬の利用が即効性があり有効です。ただし、ウリハムシの体長は7~9mm程度と小さいため、見つけるのが難しく、完全な駆除までに手間と時間がかかります。自分で駆除するのに限界を感じたら、害虫駆除業者に依頼するのを検討しても良いでしょう。業者に頼れば完全な駆除が可能ですが、費用が発生します。料金相場は、面積や状況によって異なりますが、多くの業者は8,000円程度から料金を設定しています。詳細な料金を知りたい場合は、見積もりを依頼しましょう。数社に問い合わせをし、料金やサービスを比較検討するのもおすすめです。現地調査や見積もりは無料の場合もあります。

「無農薬」で駆除したい場合

無農薬野菜を育てている場合や、どうしても殺虫剤や農薬を使いたくないという場合もあるでしょう。こちらでは、殺虫剤や農薬を使わない駆除方法を2つご紹介します。ただし、殺虫剤や農薬を使用する際に比べて効果が薄く、即効性がないため、確実に駆除したい場合には向いていないことに留意しましょう。

ペットボトルトラップ

ウリハムシを無農薬で駆除したい場合、ペットボトルを利用したトラップが効果的です。一度ペットボトルに入ったウリハムシは、出口が小さくて逃げることができません。継続的に捕獲し続けられます。ただし、畑のそばに置いておくなど放置するだけでは捕獲できないので注意が必要です。ペットボトルの口を近づけてウリハムシを誘導してペットボトルの中に落とせば成功ですが、ペットボトルの口が小さいため、以下の手順でトラップを作ると使いやすくなります。ウリハムシは、合成洗剤の中に落ちると窒息するので駆除できます。

1.持ちやすいペットボトルを中央部分で切り、上パーツと下パーツに分ける
2.下のパーツの底に合成洗剤を薄めて入れておく
3.上パーツの飲み口を下にして下パーツにはめ込む
4.ウリハムシを見つけたら捕獲器を構えて上から叩き落す
5.飲み口が小さいため逃げることができず合成洗剤の中に落ちる

草木灰

草木灰とは、乾燥させた刈り草や剪定枝を燃やし、その後に残る灰のことです。主にカリウム分を補給する肥料として使用されるほか、土壌酸度の調整にも利用されます。

アルカリ性の特性により、野菜の害虫対策にも有効で、特有の臭いによりカメムシやテントウムシダマシなどの虫を追い払うことができます。

ただし、幼い苗に対してはアルカリが強すぎて葉焼けを引き起こす可能性があるため、使用は慎重に行う必要があります。

住宅地など野焼きが禁止されている地域においては、煙が発生する草木灰づくりは行えません。


草木灰を利用した方法は、畑にまくだけで簡単ですが、完全な虫の駆除は難しい点を理解しておくことが大切です。草木灰には殺虫成分が含まれていないため、虫を忌避する効果はありますが、基本的には予防目的で使用することが適しています。

ウリハムシに対する予防法

ウリハムシは小さな害虫のため、見つけるのが難しく駆除するのは困難です。ウリハムシの被害に遭う前に十分な対策をしておくと被害を抑えることもできます。ウリハムシの一般的な予防法は以下の4点です。

コンパニオンプランツを植える

コンパニオンプランツとは、一緒に植えることで互いの成長を促進させたり、病気や害虫の発生を抑制することができる植物のことです。日本語では「共栄作物」とも呼ばれます。

例えば、ウリ科の植物と一緒にネギ類を栽培すると、ネギ類特有の匂いがウリハムシを寄せ付けにくくする効果があります。さらに、ネギ類の根に共生する「拮抗菌」は抗生物質を分泌し、土壌中の病原菌を抑制します。これにより、きゅうりなどのウリ科植物が連作障害を起こすのを防ぐことが期待できます。

ただし、コンパニオンプランツの効果を最大限に引き出すためには、適切な植え付けが必要です。

例えば、きゅうりの栽培でネギのニオイを利用してウリハムシを防ぐには、畝を隣り合わせにするだけで効果があります。しかし、ネギの根に共生する拮抗菌の効果を活かすには、ネギときゅうりの両方が同じ土壌に根を張ることが必要となります。

また、根が深く広がる作物ではなく、根が浅い長ネギがきゅうりとのコンパニオンプランツとして最適で、共生効果を発揮しやすいです。拮抗菌の効果を確実に得るためには、根が絡み合うように混植するとよいでしょう。

なお、きゅうりを移植する場合は、植え穴を掘った後に先にネギの根を広げ、その上にきゅうりを植えると良いでしょう。コンパニオンプランツをうまく活用すれば、作物の共生を図りながら害虫の防止と作物の健康維持を目指せます。

光るものを設置

ウリハムシの目は弱く、光るものを川や水と勘違いして避ける性質を持っています。目が弱いという特性を活用し、銀のテープやアルミ箔を利用して畝に敷いたり、銀のテープを張り巡らせたりして対策することも可能です。

薬剤を事前に散布する

薬剤を事前に散布する対策は幼虫時に行う対策と成虫時に行う対策の2つがあります。

・幼虫対策
「播種」(作物の種をまく行為)や「定植時」(植物を一箇所から別の箇所へ移植する行為)に、粒剤処理を行う方法があります。

・成虫対策
作物が成熟すると同時に出現する成虫に対して、農薬の散布を行うと効果的です。
一方、成虫期の対策としては、作物が成熟すると同時に出現する成虫に対する農薬の散布が効果的です。ウリハムシは、農薬に比較的弱い虫で、農薬を使うと効果的に防除できます。特に成虫の飛来が盛んな5月下旬から6月中旬に農薬の散布を行うと、効果が期待できます。作物に適した薬剤を選んd使用しましょう。

寒冷紗や防虫ネット

ウリハムシの被害対策には、荒く平織に織り込んだ布である「寒冷紗」や銀糸入りの「防虫ネット」が役立ちます。目合いが1mm以下の細かい布やネットを使えば、多種多様な植物に寄生するアザミウマなどの害虫を防ぐことも可能です。寒冷紗や防虫ネットの端は、土中に埋め込み、成虫の侵入を防ぐのがポイントです。苗の幼苗期には苗ドームを使うと効果があります。苗ドームとは、透明で硬いポリエチレンがドーム状に成形されたもので、苗に簡単に被せて使用することが可能です。ホームセンターなどで、5個1セットなどで販売されており、繰り返し使うこともでき、風で飛ばされないように固定するピンがついているものもあります。苗ドームは換気穴が上部に開いていて、適度な保温効果もあり、強風や雨、害虫から苗を守ることができます。

まとめ

ウリハムシは、ウリ科植物を食害し、見た目が悪くなったり商品価値を下げたりします。ウリハムシはご紹介した方法で駆除することも可能です。しかし、被害範囲が広い場合や早急に駆除したい場合は、業者に依頼するのがおすすめです。今回は、ウリハムシに対する予防法についても合わせてご紹介したので、ぜひ予防策から試してみてください。

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